Various Artists - Habibi Funk 007: An eclectic selection of music from the Arab world (2017)

https://f4.bcbits.com/img/a2216664489_10.jpg

さあ、遂に来てしまいました!"The Future Is Female"と銘打ったTシャツも即完売のドイツ発の気鋭レーベル、Habibi Funkの北アフリカ~アラビアのサイケデリックロックやジャズファンクにフォーカスを当てたコンピレーション。アラビアンの世界でもロックは存在していたという強烈な事実を伝えてくれる秘蔵アーカイブ出ちゃいました。

Habibi Funkは、アラブ世界の芸術家が地域外から伝来した音楽とその地方や地域の影響を混ぜた音楽活動に高い関心を持っているレーベルです。彼らは、歴史的にも音楽のジャンルとして存在してこなかったスタイルの音楽を再発することに専念しており、ここで監修されている楽曲は、まったく異なる場所、全く異なる状況下で録音された作品たちです。戦時中に書かれたものもあれば、亡命したミュージシャンも存在します。これらの相違点があるにも関わらず、当レーベルは、音楽的関係があると考えているそう。

多くの場合、このレーベルで紹介される音楽は、ソウル・ミュージック、ポップス、ロックなどの西洋のポピュラー音楽から影響を受けている可能性がありますが、それに限定されるものではありません。例えば、彼らがフェイバリットに挙げるレコードである Mallek Mohamed(マレック・モハメド)などに代表されるアラビア語の音楽ジャンル、ズーク​​(マルティニークグアドループカリブ海の島に由来するジャンル)の音楽は、アルジェリアのコラデラ(ガーボベルデで人気の音楽スタイル)やレバノンAORなどの影響を受けており、音楽的影響のプロセスが多彩です。これは、西洋の音楽を青写真とし、地域ごとの感覚で翻訳する以上に意義がありました。

コンパイルされたアーティストは15人、当レーベルで過去に発掘リリースがある、アーメド・マーレックや、アル・マストリーンなどのリリースで既に知っている人もいるかもしれませんが、カマル・キラ、シャルハイエル・アーメド、アタラザット・アダーハビア、マレック・モハメドのような更なるミステリアスなアーティストも紹介されています。今日の世界では、アラブ世界に対して、まだ多くの常套観念がありますが、多くの西洋のメディアが示唆していることとは対照的に、北アフリカや中東までアラブ世界は、非常に多彩です。さまざまな物語やアイデア、信念でいっぱいなのです。この非常に多様性の高い地域がいかに音楽的に活き活きとしていて、まだまだ奥深さがあるのかについて、より多様で、微妙ながら、しかし十分なアイデアを確立するための、小さな小さなパズルとして役立つようになることを願って、Habibi Funkはリリースを重ねています。なんとロマン溢れる取り組みではないでしょうか!

同時に、彼らは1970~80年代のアラブの音楽史を代表する歌曲として、このコンピレーションをリリースしている訳ではなく、彼ら自身が好きな曲の非常に個人的なキュレーションであるということで、一般に普及している音楽ではないそうです。そして、賞賛すべきことにこのコンピレーションの全てのトラックは、アーティストから直接ライセンスされています。残念ながら、もう生きていないアーティストの場合は、アーティストの家族やレーベルからライセンスを得ているそうです。 植民地時代の視点から、非西洋のアーティストを扱うヨーロッパのレーベルとして、搾取的な経済パターンを再現しないようにしっかりと責任を持とうという心意気があります。ブートレーベルが氾濫する中で、こういうところまでしっかりしているところを見ると安心すると同時に応援したくもなりますね。さて、アラビアンにアレンジされたエスニックな「エリーゼのために」まで聞こえてくる始末ですが、土着の感覚で非常に洗練されたサイケ・ファンクから砂漠のオアシスの感嘆を表現しているようなアラビアンAORまで、かなり多彩な楽曲が収録されています。本作はブックレット付きのCDと二枚組LPでのリリース。来月一日のフル配信が楽しみでなりません。