Ross Alexander - Memorias Vol​.​1 - Bugandan Sacred Places

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ポートランドのPulse Emitter、シアトルのPanabrite、ドイツ・シュトゥットガルトでカセットレーベル、Cosmic Winnetouを主宰するGünter Schlienz、長らくこの三人のシンセシストのことを三大地下シンセシストと、現インパートメントの舘脇氏の影響で呼んでいましたが、個人的に新たに一人加わりそうです。情報が少なく、同名の人物もいて何者かイマイチ分からないのですが、民族音楽からフィールドレコーディング、非音楽、コラージュミュージックまで幅広く手掛ける名門、Discrepantの傘下に始動したカセットレーベル、Sucata TapesからRoss Alexanderというシンセシストが登場しました。

本作は、ウガンダの王族(この地域にはブガンダ王国という歴史的地域が存在している)やその一族にとって、神聖な空間で演奏された一連の録音に基づいているようです。これらの録音は、ミュージシャンのAlbert Sempekeと共に演奏したシャーマニックな瞑想儀式のセッションや、Nilotika Collectiveという無名のドラムサークルのサウンドから構成されています。

坂本教授も愛用したYamaha DX7やFMシンセも用い、民族音楽をシミュレートしたスピリチュアリティ溢れる自然美ニューエイジアンビエント。東アフリカというと"自然!"っていうような偏見あるイメージを持ち合わせていますが、まさにその通りといったような虫の声、動物たちの歌、自然の躍動するアトモスフィアといったものが前面に押し出された作品となっています。荘厳さ溢れるドラムサークルのプリミティヴな演奏や八十年代を彷彿するニューエイジ感溢れるシンセの音色も美麗なのですが、何といってもウガンダの自然美がふんだんに音空間に取り込まれているところが魅力的ではないでしょうか。アフリカという人類にとって原初の世界から鳴らされるサウンドスケープは、まるで羊水の中で聞かされるブライアン・イーノのような優しさを持っています。

"Love is peace, and freedom is harmony!"とレーベルの紹介文の最後にも書かれていますが、この音楽の美しさも根底は「調和」にあると思います。

フィールドレコーディングをフィーチャーしたエキゾチックなシンセ・アンビエントということで、Dolphins Into The Future、Spencer Clark、Mike Cooperのファンにもお薦め出来ると思います。レーベルではカセットは完売していますが、バンドキャンプからデジタルで購入可能。本作はVol.1ということで続編もあるのかも。だとしたら楽しみでなりませんね。その際にはRoss Alexanderが何者か判明していて欲しいです。