伏見稔 / Minoru 'Hoodoo' Fushimi - In Praise Of Mitochondria

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遂に念願のデジタル版来ました!これは数ある今年の再発や発掘リリースの中でも有数の発見ではないでしょうか。85年にMFX Recordsからリリースしたファーストソロアルバム「Thanatos Of Funk」は、四万~五万円台で取引されている激レア盤と化している、国産ジャパニーズ・エレクトロ・ファンクの雄、伏見稔の未発表音源を始め、前述のアルバムなどに収録されている楽曲などをコンパイルしたコンピレーション2LPが、Chris BonatoとAnthony Walshによって設立されたメルボルンの新興再発レーベルのLeft Ear Records(Music From MemoryでもおなじみWorkdubの再発も手掛ける)から九月に発表されました。

現在も活動中のこの人は、1985年から1992年にかけて四枚のアルバム(CD二枚、LP二枚)をセルフリリースし、そのデジタルはバンドキャンプでも販売中です。伏見氏は日本の伝統楽器や歌をファンクと融合させるという類を見ない功績を誇りますが、惜しくも長年その作品は歴史の狭間に埋もれたままでした。

ジャケは最高にダサいですが、内容はホントにホンモノ中のホンモノ。これこそ、ガラパゴス文化な環境下で育まれたオーバーグラウンドな感性が産んだアフロな才能の至宝と言うべきでしょう。琴や三味線といった日本の楽器を用い、恐らく偶発発生的だと思われる、ボコーダーを使った独特のラップも乗ったあまり聞いたことのないような、まさに「ドープ」の塊みたいな音楽。この緩いと錯覚するような熱さ、横須賀の作家っていう土地柄を感じますね。レーベルの紹介文にもありましたが、ジョージ・クリントンと喜多嶋修とジミー・キャスターが一同に会して演奏したようなシンセ・ファンクの南極点のような不思議な世界です。「ミトコンドリア讃」って何だろう、とか考えちゃいけないのかもしれないけど……。今年も、吉村弘に高田みどり、阿部怪異、阿部薫高柳昌行の「解体的交感」、灰野敬二の「わたしだけ?」、杉林恭雄など、歴史的価値と個性ある再発が多かったですが、このミュータントはそこに加えてもいいんじゃないかと思います。ニューウェイヴ、ファンク、ソウル、ディスコのファンから最近クラブシーンやヴェイパーウェイヴの流れで来ている和モノ好きの人にも満足のいく作品なんじゃないかな。