DE FABRIEK - Schafttijdsamba

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再発盤ジャケダサすぎっ!とはいえ日本ではそれすら話題になっていないような気もしますが・・・。しかしながら、ニューウェイヴの激動時代の波やトレンドにも流されず、独特の個性を放ち続けたオランダのエクスペリメンタル・ミュージック・グループの貴重な1982年のファースト・アルバムが遂に初の公式再発です。

1977年にオランダの都市ズヴォレでRichard van DellenとAndries D. Ekerによってコレクティヴ・プロジェクトとして結成されたのがこのデ・ファブリーク。ミニマル・エクスペリメンタル・ミュージックを製作することを目的として活動していた彼らは、独特のパッケージが為されたハンドメイドの作品を極少部数で発表。彼らは労働者の道具や機械、おもちゃの楽器、自作楽器などを使ってミュージック・コンクレートとも呼べる音楽を制作していました。彼らは通常のバンドの形態を取らず、レーベルとしても活動し、また、ある種の労働組合のような存在でもあり、いち労働者として働くミュージシャンのための工場たるものとして提示されたのがこのデ・ファブリークでした。また、常に安定したメンバーがいて、特定のプロジェクトを行う場合には他のアーティスト達も出入りして来ました。彼らと共にレコーディングした作家やグループに、ノイズ/インダストリアルの巨星であるBrumeやVivenza、ニューヨークのサウンド・アーティストのGen Ken Montgomeryといった著名なグループやアーティストがいます。現在は、Richard van Dellenとその妻であるLouise Nanuru van Dellen、Klaas Monsの三人で活動しています。

まぁとにかく卑屈なマシンビートの反復感がたまりません。マイペース極まりないスロウな展開、エフェクト加工された声に、フィールド・レコーディング、ラジオの音などが挿入され、憂鬱で陰気なファクトリー・ミュージックが繰り広げられていきます。中でもエスノなサウンドの妙すらも聴かせる"Ankara"や"African Disco"といった楽曲はキャバレー・ボルテールからジョン・ハッセルにも通底しており、凡百のミニマルウェイヴには終わらせないところが彼らの器量と言えるでしょう。ライトなリスナーには偏屈野郎の遊びとも思われてることもありそうなこのミニマルウェイヴというジャンルに於いてもかなりの完成度を誇る一枚だと思います。元のアートワークの方が良い!と思う人もいるかもしれませんが、正規にデ・ファブリーク自身の手によって新装アートワークでの再発。流通の悪いスペインのレーベルからのリイシューなので、一応、オランダ地下音楽界の伝説とも言えるバンドながら今のところまだ国内入荷はないようですがバンドキャンプから直で買ってもそんなにしないようなのでおススメですよ。