East Bionic Symphonia - Recorded Live (1976)

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Label : ALM Records

Format : LP

Catalog# : AL-3001

Country : Japan

Released : 1976

discogs

A Part 1 (7.30 P.M. ~ 7.47 P.M.) 

B Part 2 (8.15 P.M. ~ 8.43 P.M.)

今も現存する東京のアートスクールである「美学校」にて、フルクサスとの関わりやタージ・マハル旅行団やグループ音楽などの活動も知られる作曲家、小杉武久の音楽教場(1975年 - 1977年にかけて開講)の初年度を受講していた今井和雄や向井千恵(Ché-SHIZU)、多田正美といった生徒らによって卒業制作として作られた一枚。その名前からイメージするところの通り、東洋の混沌たるフォークロアが息づいた前衛的集団即興。こちらのEast Bionic Symphoniaを母体に、今井和雄や向井千恵、多田正美といった面々は、97年に即興集団のMarginal Consortを結成、今井氏も在籍する〈P.S.F. Records〉や〈PAN〉、〈Improvised Music From Japan〉といった著名レーベルから作品を発表。19年の秋にも京大西部講堂でパフォーマンスを行う(goatのメンバーで〈birdfriend〉主宰の日野浩志郎によるYPY及び打楽器奏者の久下恵生も参加)など、現在も活動を継続しています(途中で向井千恵が脱退)。

East Bionic Symphoniaには、作曲科の生徒を始め、絵や写真、演劇、ジャズやロックへの興味から入った人物など、多様な経歴の10人が集い、師である小杉武久のタージ・マハル旅行団の集団即興や過程としての音楽、電子的なメディアの概念へとフォーカスし、実際に取り組むこととなったプロジェクト。各人の声やハーモニカ、タンブリン、鈴、笛、胡弓、チャルメラ、タブラ等、民族楽器を含む様々なエレメントを駆使、全ての音は増幅され、エコーマシンを通してフィードバックのかかった音空間を構築。La Monte Youngを想起させるドローン・サウンドやDaevid Allenの様なグリッサンド奏法を軸に、動的な静寂のなかで異能が跋扈する「この世でない」音場を顕現させていきます。

発売の背景には、小杉武久の講座の成果としてグループを作ってレコードを売ることで、少しでも学費の足しにしてほしいという小杉氏の気遣いもあったとのこと。また、ライナーノーツは高橋悠治が担当(下記に掲載)。

非常に入手困難かつ相場も10万近くと高額なこちらのレコードですが、同集団の中心的立場であった今井和雄氏によると、本作に関与した10人以上もの参加者から許諾を得て、自身らの手による再発を考えていたそうですが、協議を進めていた途中で発起人の小杉氏が逝去されてしまい、元々同氏が自身の関わってきた作品の再発には意欲的でもなかったため、今後も再発が難しいようです。現在、別のものと思われるライブ録音を収録したこちらのブート音源は比較的容易に入手可能。

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