Obsequies - Organn (2017)

ダブステップといえばVex’dと呼ばれたデュオ、Vex’dの片割れであり、Hyperdubに並ぶ名レーベル、Planet Muにも名を連ねるエレクトロニック・ミュージックの帝王Kuedo。彼はJ.G.Biberkopfやv1984などオブスキュアなミュージシャンをキュレーションし、地下シーンで威光を放っている新鋭レーベル、Knivesを主催する男だが、またしても面白いアーティストを引っ張ってきてくれた。ベルギーのアーティスト、その名もObsequiesだ。

モノクロのインダストリアル調のジャケットデザイン。愛と二元性について描かれたというこのアルバムは、日本でも著名なフランスの詩人・ロートレアモン伯爵の詩集「マルドロールの歌」からインスパイアされているそうだ。ヴィジュアル面では、フランスのミックスメディア・アーティスト、トマス・ハウザーの洗礼を受けており、シュールレアリスムへの逆行を意識しているという。そういった難しいことはよく分からないのだが、ポスト・インターネットからベースミュージックの深淵へと注がれるこのバイオレンスな音楽は確かな審美眼で今アンダーグラウンドからインディペンデントなミュージック・シーンへと押し届けられようとしている。先行シングルで描写されているようなオンライン・アンダーグラウンドの感性で磨き上げられたサウンド・コラージュの音選びはまさに類稀なるセンスで裏付けされており、2010年代の最先端を行くものだろう。

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